Excelを使ってデータ分析をするとき、「平均」はとても基本的で大切な指標です。
でも実は、Excelには3種類の平均関数があることをご存知ですか?
- AVERAGE(算術平均)
- GEOMEAN(幾何平均)
- HARMEAN(調和平均)
本記事では、それぞれの違いや使い分け、実際の使用例を交えて解説していきます。
AVERAGE関数(算術平均)とは?
基本の「平均」
一番よく使われる平均がこの「算術平均」です。
複数の数値を足して、数の個数で割ったものです。
書き方
=AVERAGE(数値1, 数値2, ...)
例:
=AVERAGE(10, 20, 30) → 結果:20
使用場面の例
- テストの点数の平均
- 売上の平均
-
気温の平均
注意点
極端に大きい(または小さい)値が含まれていると、平均が実態とズレることがあります。これが後ほど紹介する「幾何平均」や「調和平均」が役立つ理由です。
GEOMEAN関数(幾何平均)とは?
増加率や割合に使える平均
幾何平均は、複数の値を掛け合わせてからルートを取る方法で求める平均です。
たとえば「毎年10%成長」などの比率ベースのデータで活躍します。
書き方
例:
=GEOMEAN(2, 8) → 結果:4
使用場面の例
- 投資の年平均利回り
- 成長率の平均
-
パーセンテージの連続的な増加
メリット
極端な数値に左右されにくく、全体のバランスをとった成長の平均を表せます。
注意点
0や負の数が含まれると計算できません(掛け算なので)。
HARMEAN関数(調和平均)とは?
速さや効率に使える平均
調和平均は「逆数の平均」の逆数として計算されます。
時間や効率の平均を取るのに向いています。
書き方
使用場面の例
- 平均速度の計算
- 作業効率の平均
-
単位時間あたりの処理数の平均
メリット
作業量や距離など、一定量を異なる速度でこなす場合に、実態に即した平均値を出せます。
注意点
0や負の数には対応していません(逆数が取れないため)。
3つの平均の違いを比較しよう!
種類 | 特徴 | 例 | 弱点 |
---|---|---|---|
AVERAGE | 一般的な平均 | テストの点数、売上の平均 | 外れ値に弱い |
GEOMEAN | 比率・成長の平均 | 年ごとの成長率、投資の利回り | 0やマイナス値は使えない |
HARMEAN | 時間・効率の平均 | 平均速度、作業時間 | 0やマイナス値は使えない |
実際のケーススタディで理解しよう
ケース①:2年間の成長率
ある会社の売上成長率が、1年目に+50%、2年目に-20%だったとします。
=GEOMEAN(1.5, 0.8)
算術平均では(50%-20%)÷2=**+15%**となり、実態とズレた数値になります。
ケース②:平均速度の落とし穴
ある道を「行きは60km/h、帰りは40km/h」で移動したとします。
=HARMEAN(60, 40)
算術平均で出すと(60+40)÷2=50km/hですが、実際は48km/hです。
調和平均で出す方が正確です。
まとめ:どの平均を使うべきか?
「平均」と一口に言っても、データの性質に応じて使い分けることが重要です。
- 足し算の世界なら →
AVERAGE
- かけ算や成長の世界なら →
GEOMEAN
-
時間や効率の世界なら →
HARMEAN
それぞれの関数を理解しておくと、Excelでの分析の精度が一段と上がります。
補足:エラー回避のポイント
- GEOMEANやHARMEANは0や負の数を含むとエラーになります。
- データの前処理(フィルターやIF関数など)でエラーを避けましょう。
最後に
「平均」という言葉にとらわれず、「何を伝えたいのか?」に応じて関数を選ぶことが、正確なデータ分析につながります。Excelの平均関数を使いこなして、より説得力のある資料作成をしてみてください!